3日目の日曜日は、車で1時間半走り蘇州のちかくにある中国での皮革製品の中心地まで買い物に出かけました。昼食を挟んで2か所のマーケットを案内していただきました。日本語を学んでいる学生さん(来月より京都外大に2年間留学予定)も同行してくれていて、謝先生が思いっきり値切っているのに驚き、笑いながら見ていました。世界各地から皮革が集まり、製品となり世界中に送られるのですから、女性にはたまらない場所です。やたら広いのと中国向けのデザイン?には惑わされます。
買い物の後、予定外に(少なくとも我々への予定にはなかった)病院に立ち寄るとのことで、杭州まで1時間くらいの郊外にある病院に到着しました。カメラを構えたスタッフの出迎えがあり、真新しい病院の中へ案内されました。大きなエスカレーターの間に見える正面受付の上に中国語で“熱烈歓迎日本手の外科南川義隆教授御一行”の電飾案内があり、家内と同行の中国の女子学生も驚いていました。浙江省人民病院のサテライト病院で開院2年目の20階建てくらいの近代的な総合病院です。地下鉄駅に直結している郊外の病院で謝先生も週に一度診察と手術に来ているとのことでした。
日曜の夕刻は杭州観光で最も有名な西湖の奥に位置するリゾートホテルでの夕食会でした。私は前の2回合計5泊ほど滞在したことがある謝先生の奥様が経営されている豪華ホテルです。この日は、特別にVIP roomに招待していただきました。中国共産党のVIPが使用すると山口先生から聞いていました。昨年、杭州でG20 が開催されたときには中国外務大臣が宿泊していたとのことで、我々だけでなく、通訳で同行していた学生も部屋の豪華さに目を丸くしていました。松茸のスープから始まった料理も素晴らしく、大きな円形テーブルに6人だけで、サーブする人がやたら多く浜田先生のお酒も弾んでいました。食後、まだまだ人混みの西湖の湖畔に行きましたが、写真はほとんど暗闇でした。次回には西湖の写真も掲載したいと思います。
最終日には、空港に向かう前の午前中、浙江省人民病院の院長との面会が予定されていました。 10分のスピーチと予定表にあり、スライドなしで10分? 朝から少し準備しましたが、間に合わず何とかなるだろうと? 朝はゆっくり9時にホテルを出発し5分程度で浙江省人民病院に到着しました。20階建ての大きな病院で入り口横には例の電光掲示板が、謝先生が電話で連絡するとやはり“熱烈歓迎 南川教授御一行”と出てきました。あまり続くと有り難味も薄れるもので、記念撮影をして院内の貴賓室に案内されました。大きなテーブルには院長と国際部の主任と副主任、婦長さんと謝先生が並び、Fu-Ken先生の通訳兼司会でセレモニーが始まりました。院長から4年前にこの部屋で名誉教授の称号などの授与式があり、その際院長が不在であったので、今回あらためてお礼を述べたいと、中国から2名の医師とセラピストが東京へ研修に出向きとても有意義であった。私の病気と、引き続き東京手の外科の山口利人理事長が急死したため、交流がストップしてしまったが、交流の再開を希望していることが述べられました。私は、昨年の昆明の学会で中国手の外科グループとの交流を約束し、Ningbo第6病院の見学も交流を前提にした訪問であったことを話し、浙江省人民病院でも人工指関節が30例以上使用されたこと、しかしまだ中国では手の外傷の治療が主体であり、リウマチや性関節症の治療はほとんど行われていないことを指摘、また日本でも20~30年前は同様であったこと、今後急激にリウマチを含めた、関節症治療の必要性が出てくるであろうと話し。そういった分野では、大阪のクリニックと近隣の大学病院を含めた施設での研修を受け入れる準備があることを話しました。国際部の主任の先生は肩書通り流暢な英語で通訳なく意思疎通ができたので、前回1人目に東京に来た王先生が、英語と日本語が全く話せず、3か月間ただ笑顔だけで過ごし、本人は苦労したであろうことを伝え、最低限の意思疎通が取れる程度の英語力のあることを研修の条件であることを強調しました。候補者には国際部で責任をもって面接し決定するとの同意を得て、儀式は終了。院長も英語はかなり話せるようでしたが基本的には通約を介しての会話となり、Ningbo第6病院の手術件数の話をすると、上海第6病院も外傷治療を行う整形外科病院で総合病院である人民病院とは格が違うとのニュアンスがあり、院長として将来性のあるリウマチ治療にも興味を示された。その後、隣の部屋で写真撮影し、症例検討に向かいました。 3回目の訪問で初めて、若い医師を含めた症例検討が実現し、最近謝先生が行った人工指関節の症例が10例ほど提示されました。すべて外傷例でしたが、関節面が温存された骨折に対して使用した症例に対して若い医師に適応として問題ないか通訳を通して聞いてみました。反応がないので、骨折の治療が優先されるべきで人工関節は必要ないのではないか? どこまで正確に通訳されているかが判らないのが残念でした。
浜田先生が、横から制止するのも構わず、王先生に意見を求めると、骨折部の不安定性があったのでしかたなかったと謝先生を擁護していました。やはり自由に意見を述べれる状況ではないのか?